コラムColumn
【ボディワーク】ウエイトトレーニングは高齢女性の認知能力を高める
女性運動
Posted on 2012.5.28
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学Teresa Liu-Ambrose博士らが、2012年4月23日付のArchives of Internal Medicineに発表した研究によると、ウエイトトレーニングは軽度の認知機能低下がみられる高齢女性の脳機能の改善に有益だということです。
運動が中高年の記憶力などの脳機能の改善に有効であることは、すでにいくつかの研究で明らかになっています。しかし、レジスタンス運動、有酸素運動など、運動の種類と脳機能の改善については明らかになっていませんでした。
そ こで研究者らは軽度の認知機能の低下がみられる70~80歳の女性22人を、フリーウエイトを使ったレジスタンス運動を行うグループ、ジョギングやウォー キングなどの有酸素運動を行うグループ、ストレッチやリラグゼーション法などを行うグループの3つに分けて、週に2回それぞれの運動を6か月間継続しても らいました。被験者の女性たちには、記憶力テスト、運動能力テスト、心血管系の能力テスト、MRI検査を受けてもらいました。
その結果、ほ かの2つのグループに比べて、ウエイトトレーニングを行ったグループは、明らかに記憶能力が改善し、特に脳の舌状回(言葉の認識に関係する)、紡錘状回 (顔の認識)、右の前頭極(将来の予測、計画などを立てる)の血流が改善し、その部分の脳の活動が活発になっていました。一方で有酸素運動も心血管系の能 力が改善し、全体的な身体バランスが少し改善していました。
今回の結果は、高齢女性に限定されており、男性やほかの年代の女性たちにも同じ ような効果が表れるかどうかはわかりません。しかし、一般的に、高齢女性に運動を勧める場合、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることが大半でした が、軽度の認知機能の低下がある高齢女性の場合は、骨や関節への負担を考えながら、レジスタンス運動も取り入れることで、より効率的に認知機能の回復につ ながるかもしれません。