コラムColumn
妊娠中のパラベン暴露と小児の過体重の関連性
女性性と生殖教育、子育て美容
Posted on 2020.2.14
食品や化粧品などの腐食を防ぐために使用される メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどの防腐剤を、妊娠中の女性が皮膚から吸収することで、子ども(特に女児)の過体重につながる可能性があることが、ドイツのヘルムホルツ環境研究センターなどの研究で明らかになり、2020年2月9日の『Nature Communication』で発表されました。
これは乳幼児期のアレルギーや喘息、呼吸器疾患と妊娠中の母親の健康状態との関連性を調べる母子コホート研究の結果によるもので、母親の尿中のブチルパラベンの濃度が高い場合、8歳までの女児の過体重との相関関係がありました。
そして尿中に高濃度のブチルパラベンが検出された妊婦を調べたところ、パラベンを含むボディクリームやローションの使用と関係がある可能性が指摘されました。
この結果の背景にあるメカニズムを調べるために、脂肪細胞自体がブチルパラベンに影響を与えるか否かを培養細胞で調べたところ、ブチルパラベンによる脂肪細胞への直接的な影響(脂肪細胞の肥大化を引き起こすなど)はありませんでした。一方で、妊娠中のマウスの皮膚にブチルパラベンを塗布すると、生まれたメスの子マウスが過食になり、過体重になることが明らかになりました。
さらに調べてみると、メスの子マウスの脳では、 空腹感の制御をする「プロオピオメラノコルチン(POMC) 」という遺伝子がうまく働かないように変異していることが判明しました。
この結果について研究者は、 妊娠中のパラベンの影響は、
【出典】
Beate Leppert, Sandra Strunz, Bettina Seiwert, Linda Schlittenbauer, Rita Schlichting, Christiane Pfeiffer, Stefan Röder, Mario Bauer, Michael Borte, Gabriele I. Stangl, Torsten Schöneberg, Angela Schulz, Isabell Karkossa, Ulrike E. Rolle-Kampczyk, Loreen Thürmann, Martin von Bergen, Beate I. Escher, Kristin M. Junge, Thorsten Reemtsma, Irina Lehmann, Tobias Polte. Maternal paraben exposure triggers childhood overweight development. Nature Communications, 2020