コラムColumn
閉経後に生きる意味~閉経後のシャチは息子を守る
女性老化脳
Posted on 2023.8.7
ほとんどの生物は繁殖寿命を過ぎると死んでしまいますが、一部の霊長類、クジラやシャチなどは閉経後も長期間生きることが確認されており、その意味を調べる研究が盛んにおこなわれています。
イギリスのエクセター大学の研究によると、閉経後のシャチは、群れを作っている家族のためにエサを取って与えるだけでなく、自分の生んだ息子の命を体を張って守ろうとする行動をとることが明らかになり、2023年7月の「Current Biology」で発表されました。
この成果は、オスのシャチが他のシャチと闘った際に残った歯型の数を調べたもので、高齢の母シャチが生きているオス(息子)のシャチには、他のシャチによって傷つけられた体の傷(歯型)が少ないことがわかりました。このことから、母シャチが息子たちに危険な行動を避けるよう何らかの合図している可能性があるそうです。
研究者は、どのようにして高齢の母シャチが息子のシャチを守っているかについての研究を進めるために、ドローンを用いてシャチの群れの行動を観察しているということです。
【出典】 Charli Grimes, Lauren J.N. Brent, Samuel Ellis, Michael N. Weiss, Daniel W. Franks, David K. Ellifrit, Darren P. Croft. Postreproductive female killer whales reduce socially inflicted injuries in their male offspring. Current Biology, 2023; DOI: 10.1016/j.cub.2023.06.039