コラムColumn

インフルエンザ流行でICUが大混雑だった南半球の冬

病気

Posted on 2009.10.20

 
この夏、一足先に冬を迎えていたオーストラリアとニュージーランドでのインフルエンザの流行による医療機関の大混雑ぶりは、これから冬を迎える北半球にとっていい教訓になりそうです。

6月1日から8月31日までに2国でインフルエンザにかかった人は722人、そのうちICUを使った人は187人。これは住民100万人にたいして28.7人、19%のICUの施設がインフルエンザ患者によって利用されたことになると、オーストラリアロイヤルパース病院のスティーヴン・ウェブ博士らが『New  England  Journal of Medicine』のオンライン版に発表しました。

669人の患者のうち、336人のデータを分析することができ、48%の患者にウイルス性の肺炎や急性の呼吸器疾患がありました。


これは、過去4年間のH1N1の流行がなかった年では、肺炎によるICUの利用が57人しかなかったことと比べると、極めて高い数字でありことがわかります。

856人の患者を分析すると、722人は新型インフルエンザで、37人が季節性ウイルス感染、97人がA型インフルエンザだったことがわかり、それぞれの死亡率は14.3%、16.2%、13.4%でした。

ICUを利用した患者の特徴に関しては、1歳未満の子供の利用が最も多く、妊娠中の女性が9.1%、601人がBMIを測定しており、BMIが35以上の人が28.6%でした。32.7%が肺疾患やぜんそく慢性肺疾患を持っていました。

原住民のICU利用も高く、オーストラリアアボリジニは、人口の2.5%で、ICU利用は9.7%、ニュージーランドのマオリ族は人口の13.6%の人口比で、利用率が25%でした。
9月7日の時点で、103人が病院で死亡、5050人が退院、114人が入院中で、37人がまだICUに入院中。

これらのデータが、これから冬を迎える北半球にとっていい教訓になるといいですね。