骨粗しょう症などのために処方されているカルシウムサプリメントの服用で、健康な高齢女性の心筋梗塞や心血管イベントの発症リスクが増大している可能性が、米国ダートマス大学のJohn A Baron教授らがBritish Medical Journal　7月30日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。
教授らの研究チームは11件のカルシウムサプリメントの無作為対照試験（ビタミンDの同時投与があったものを除く）の研究結果（被験者の合計は11921人）を分析しました。
その結果、カルシウムサプリメントが心筋梗塞のリスクを約30％増加させていることがわかりました。これまでの研究で高カルシウム食の摂取では、心臓血管系障害のリスク増加があるという結果は出ていないため、リスク増加はサプリメントによるものに限定されることが示唆されています。
教授らは、リスク増加はわずかであってもカルシウムサプリメントは広く普及して服用されているものなので、人口比で考えるとかなり多くの人が心臓発作に至る可能性があるということを意味するとして警鐘を鳴らすと同時に、カルシウムサプリメントが骨粗しょう症に効果があっても、もう一度その役割について再評価される必要があるのではないかとしています。