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【食】バーガーセットにスタチンをつけて高脂血症治療?!

病気食

Posted on 2010.8.16

bergerスタチンはコレステロールを合成する酵素の働きを阻害することで、血液中のコレステロールの量を低下させる高脂血症治療薬として有名です。しかしながら、治療のためには、どんなにいい薬でも眺めているだけではダメで、薬をのむことが重要なのです。
そ こで、イギリスimperial College LondonのEmily Ferenczi博士らが、8月号のAmerican Journal of Cardiologyに発表した報告によると、クオーターパウンダーとミルクシェイクのSサイズを食べたときの脂質を処理するために、スタチン(プラバス タチンを除く)を一緒に渡すことで、高脂血症の治療効果が上昇することを指摘しています。
これは、例えば運転には危険が伴い、その危険を少しでも最小限に食い止めるために、シートベルトやエアーバッグがあるように、脂質の多い食事を選んで食べたときには、スタチンを忘れずにのむように渡すべきだという考え方です。
こ れに対して、スタチンをのむことよりも、根本的な食生活の改善を行うことが先決であるという反対意見もあります。つまり、脂肪の好きな高脂血症患者がスタ チンをのんでいることで安心し、さらに大きなバーガーやミルクシェイク、フライドポテトなどを注文してしまっては意味がないということです。体に悪影響を 及ぼす大量の脂質を含む食品よりも、全粒粉や食物繊維が豊富な食品、低脂肪食品などを代替品として選び、運動習慣などを身につけるようにすることが、大切 だという主張です。
またスタチンだけでは高脂血症の治療にしか結びつかず、肥満や糖尿病、高血圧、直腸がんなどのリスクは以前高いままだということも忘れてならない事実だという意見もあります。
Emily Ferenczi博士らは、生活改善をする意志がない人を救う最終手段として、こんな方法もあり、実際に2006年のコホート研究の試算から、毎日のスタチンの投与によって心血管リスクを30%近く低下できることを取り上げています。