コラムColumn
【メディカル】ウォーキングと脳の容積・認知能力に相関あり!
病気脳運動
Posted on 2010.10.25
ウォーキングをしている高齢者は脳の灰白質が大きく、認知能力が衰えにくいことが、米国・ピッツバーグ大学のKirk Erickson博士らがNeurology 10月19日号に発表した研究で明らかになりました。
博士らは、大規模かつ長期的な心臓血管障害のための調査に参加登録しているピッツバーグ市の高齢者1479人のうち、299人(調査開始時点の平均年齢73 歳で認知機能は健常)を対象に長期間にわたり調査しました。開始から9年後に脳のMRI画像が調査され、最後の調査として13年後に認知機能検査が行われ、この検査で183人は認知機能が正常でしたが、116人は認知機能に何らかの障害があると診断されました。博士らはこの被験者グループを、一週間の歩く総量を基準に同人数の上下4グループに分けました。それぞれの一週間の歩行量は街路のブロックを基準として、下から平均8ブロック、21ブロック、45 ブロック、156ブロックでした。歩行量と脳のMRI検査の結果を比較分析したところ、下位3グループの間には脳と歩行量の関係がほとんどありませんでしたが、良く歩く最上位グループの高齢者の脳は他の3グループの高齢者に比べて下前頭回、海馬、補足運動野の灰白質が約10%以上大きいことがわかりました。また灰白質が大きい良く歩くグループの高齢者は認知障害に陥るリスクが半分だったことも明らかになりました。
この結果から博士は、高齢になれば脳の皮質が委縮・退化が進行しやすくなり、結果として認知症のリスクも高まるが、たくさん歩くことは脳の委縮を予防し認知症になることを防ぐことに繋がるとしています。