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【食】蒸留酒はワンショット(40ml)飲んだだけでも急性膵炎リスクを増加する!

病気食

Posted on 2011.8.11

alcスウェーデン・カロリンスカ大学病院のOmid Sadr-Azodi博士らがBritish Journal of Surgery 2011年8月3日オンライン版に発表した研究で、蒸留酒はワインやビールとは違い、ワンショット(40ml)飲んだだけでも、急性膵炎 の発症リスクが上昇することが明らかになりました。
博士らはアルコール飲料の種類によって、急性膵炎発症に与えるリスクが異なるのではないかと考え研究を企画しました。
84.601 人(調査開始時点で46歳-84歳、慢性膵炎経験者は除外)を10年間調査しました。この間に膵臓がんを発症した人は除外し、10年間に調査対象者の 512人が、急性膵炎を発症しました。調査対象者はアルコール飲料の消費状況を報告しており、一回にどんな種類のアルコール飲料をどのぐらい飲んでいるか (蒸留酒、ワイン、ビールを何杯、合計何ml)というデータと、急性膵炎発症の関係が分析されました。
1度の機会に飲むアルコール飲料の種 類と量が、急性膵炎発症リスクにどのように関わっているかを詳しく算出した結果、蒸留酒は1杯(40ml)飲むだけでも、急性膵炎リスクを増加させてお り、1度に5杯(200ml)飲んだ場合あたり、52%ずつ急性膵炎発症リスクを高める(400mlであれば104%、800mlで208%)ことがわか りました。一方、ワインの場合はグラス1杯150mlを5杯(750mlボトル約1本)、ビールの場合も330ml缶を5本(1650ml)それぞれ1度 の機会に飲んでいても、急性膵炎発症リスクは上昇していませんでした。
博士らはこの結果からアルコールを代謝する際に生じる酸化ストレスが 膵臓にダメージを与えてはいるが、アルコールだけでは急性膵炎を生じさせるに十分な要因とはなっておらず、ワインやビールには含有されない、蒸留酒にのみ 含まれる何らかの成分が、アルコールと相乗効果を出すことで、リスクが高まっている可能性が高いので、今後はさらにどの成分なのかを明確にするべく研究を 進めたいとしています。