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【メディカル】結核菌に負けないためには十分なビタミンDが必要!
病気
Posted on 2011.10.15
結核菌の身体への侵入に対する健康な、効果的な免疫反応においては、白血球の1つである生体内に侵入した細菌やウィルスを捕食するマ クロファージ(大食細胞)が、最前線で機能し、活躍することが決定的に重要ですが、血中のビタミンDの濃度が低下していると、結核菌に対してマクロファー ジがうまく働かないこと、そして不足している血中のビタミンDの濃度を上げるために、ビタミンD活性代謝物25-ヒドロキシビタミンD3を補充すること で、マクロファージの抗菌活性が復活し、結核菌を再び撃退することが可能になることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の Robert Modlin博士らによってScience Translational Medicine 2011年10月12日号に発表した研究で明らかになりました。
博士らは白人のドナーから提供された血清(25-ヒドロ キシビタミンD3レベルは113nMで高い水準)と、黒人のドナーから提供された血清(25-ヒドロキシビタミンD3レベルは56nMで欠乏ではないが低 めの水準)の中で、培養されたマクロファージの働きを調べたところ、ビタミンD濃度が高い、つまり25-ヒドロキシビタミンD3レベルの高い白人ドナーの 血清中のマクロファージは良く機能して、抗菌活性が高かったのに対し、25-ヒドロキシビタミンD3レベルの低い黒人ドナーの血清では、抗菌活性が低いこ とがわかりました。
そしてこの黒人ドナーの血清に、25-ヒドロキシビタミンD3を補充したところ、マクロファージの抗菌活性 が高まることも明らかになりました。この結果から博士らは、ビタミンDの欠乏は、結核感染や他の感染症に対する生得的な免疫システムに、後天的な生体防御 システムの両方を危うくする可能性があり、ビタミンDを適正なレベルに保つことは感染症に対処するために、非常に重要であるとしています。