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【メディカル】アスピリンで大腸がん(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)リスクが半減!
病気
Posted on 2011.11.4
遺伝性大腸のがんの1つである「遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)」は、大腸がんのほかにも、子宮内膜がん、卵巣がんな どの発症リスクが高まる疾患で、全大腸がんの2~5%程度が、この疾患によるものと考えられており、また最も頻度が高い遺伝性腫瘍のひとつです。
そ してこのリンチ症候群と診断された場合、患者の約50%は、大腸がんや子宮がんなどを発症すると考えられています。英国・Cancer Research UKの支援のもとに、16カ国43の研究機関が参加して実施された長期間かつ大規模な臨床研究の結果、アスピリンがこのリンチ症候群の発症リスクを半減さ せることが、The Lancet 2011年10月28日オンライン版に発表された研究で明らかになりました。
研究では861人のリンチ 症候群の患者を、600mgのアスピリンを毎日服用するグループと、アスピリン・プラセボ(偽薬)、30gの難消化性澱粉、30gの難消化性澱粉のプラセ ボ、以上4グループに無作為に割り当て、最長4年間服用させました。その後、平均56ヶ月経過後の発症状況との関係をデータから分析した結果、このリンチ 症候群に関係すると考えられるがんの発症率が、プラセボグループでは約30%だったのに対し、アスピリン投与グループでは約15%と、発症リスクが半減し ていることが明らかになりました。
研究チームの一員である英国・北アイルランド・ベルファスト市クイーンズ大学の Patrick Morrison教授は、この結果について、短期間のアスピリンの服用では、効果が明らかではないが、2年以上の長期間の服用によって、リンチ症候群患者 のがん発症リスクが半減しており、その効果は大変明確なものであるとしています。