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【メディカル】高コレステロール治療薬のスタチンにインフルエンザによる死亡率を低減させる効果!
病気
Posted on 2011.12.18
高コレステロール血症治療薬のスタチンには、血中コレステロールを低下させるだけでなく、抗炎症作用や免疫調整作用もあることが知られていますが、米国・オレゴン州公衆衛生局のAnn Thomas博士らが、Journal of Infectious Diseases 2011年12月13日オンライン版に発表した研究で、インフルエンザに罹患して入院している患者の死亡率を低下させる効果があることが明らかになりました。
博士らは2007~2008年の冬のインフルエンザ流行シーズンにインフルエンザに罹患して、病院に入院した成人患者(研究機関でしっかりとウィルスが検出されインフルエンザに罹患していることが確認された患者のみ)3.043人(年齢中央値70.4歳)を対象に得られたデータを分析しました。研究対象となった患者の57.1%は、インフルエンザ・ワクチンを投与されていましたが、この年の流行型にはあまり合致していませんでした。
データを分析した結果、研究対象となった入院患者の30日以内の死亡率は、スタチンを服用していた患者(1013人)では、全体の3.9%だったのに対し、スタチンを服用していなかった患者では、5.5%の死亡率でした。
インフルエンザに罹患して入院する前、もしくは入院中にスタチンを服用していた患者は年齢、性別、心臓血管障害、肺疾患、腎疾患、インフルエンザ・ワクチンの投与、抗ウィルス薬の投与などの要因を調整した上で、30日以内の死亡リスクが約40%も低下していたことがわかったということです。
この結果から博士らは、今後さまざまな治験が必要ではあるが、スタチンが抗ウィルス薬とインフルエンザ・ワクチンの投与に加えて補助的に使用されことで十分な効果が期待できるのではないかとしています。