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【ボディワーク】握力と歩く速さを調べただけで認知症と脳卒中のリスクが予測できる!

病気脳

Posted on 2012.2.22

hokou米国・ボストン・メディカルセンターのErica C. Camargo博士らが、2012年4月9日~16日に開催される第63回米国神経学会議(AAN2012)で発表する研究で、握力と歩行速度が将来高齢化した際の認知症と脳卒中の発症リスクを予測することが、明らかになりました。
博士らは調査開始時点で認知症でも脳卒中でもない2.410人(平均年齢62歳)の被験者の歩行速度、握力、認知機能が測定されました。
また同時にMRIによる脳画像データも撮られ、被験者の大脳容積の推計値も算出されました。11年間の追跡調査期間に、被験者の中で34人が認知症を発症し、79人が脳卒中もしくは一過性脳虚血性発作を発症しました。
調査開始時点での歩行速度との関係では、歩行速度が遅いと脳卒中リスクが50%高くなり、また歩行速度の遅い人は、大脳容積と認知機能が、より低下することもわかりました。開始時点で65歳以上だった人に関しては、握力が強いと脳卒中リスクが42%も低くなっていました。
握力の強さは脳容積の大きさと相関があり、言語活動や視覚認知機能などの認知機能にも相関があることも明らかになりました。
博士らは、これまで高齢者の身体能力の衰えが、認知症リスクに結びついていることは知られてきたが、高齢化する以前60歳前後の身体能力との関係は、明らかでなく、今回の研究の成果は大きいとし、また歩行速度と握力は、簡単に測定可能なものなので、認知症や脳卒中のリスク管理に非常に便利なデータといえるの ではないかとしています。