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【メディカル】アスピリンはがんリスクを低下させる!

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Posted on 2012.5.13

asprin米国がん協会(American Cancer Society)疫学研究担当のMichael J. Thun博士らが Nature Reviews Clinical Oncology 2012年4月3日オンライン版に発表された研究で、アスピリンが全てのがんに関して発症率を低下させる予防的な効果が認められること が明らかになりました。
現在米国ではアスピリンは出血を誘発する潜在的な可能性と比較衡量した上で、診療ガイドラインでは心血管系にのみ疾 病予防効果が認められていますが、これまでの研究で、毎日アスピリンを服用することで、結腸直腸がんのリスクが低下したり、腺腫性ポリープの再発リスクが 低下することも知られています。
こうしたことを踏まえ今回Michael J. Thun博士らは、アスピリンのがん予防効果に関する複数の研究をレビューしました。そこで低容量のアスピリン(1日75~100mg)を服用させた無作 為治験の結果をメタ分析した結果、がんの発症率とがんによる死亡率が低下していることがわかりました。
これらの無作為化治験で得られた結果として、まずがん全体の発症率で見た場合に、介入治験でアスピリンの服用が始まってから、3年から5年の間で20%も低下していること、さらに5年以降では30%も低下していることが明らかになりました。
次にがんでの死亡率で見た場合、服用開始から5年以上後の死亡率が37%低下していましたが、これは毎日75~100mg投与さている場合であり、服用する量が多くなっても、それ以上のリスク低下は見られませんでした。
博 士らは全体として見た場合、低容量のアスピリンを毎日服用すると、開始から10年間で10%がんの発症リスクが低下すると見なされるので、がんの発症予防 として、アスピリンを服用することを、ガイドラインに載せるに十分な程度に研究結果が熟してきつつあるのではないかとしています。