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【食】高齢者の炭水化物や糖分の取り過ぎは認知機能を害する!

病気食

Posted on 2012.10.29

02米国・メイヨークリニックのRosebud Roberts博士らがJournal of Alzheimer's Diseaseに発表した研究で、70歳以上の高齢者で炭水化物をたくさん食べていると軽度認知障害のリスクが、そうでない人に比べ4倍も高まること、また炭水化物ばかりでなく砂糖を取りすぎても同様のリスクがあることが明らかになりました。
一方、炭水化物よりもタンパク質、脂肪分を中心とした食事の高齢者は、認知機能が害されにくいこともわかりました。
博士らは1.230人の高齢者(70~89歳)を対象に、日々の食事の内容と彼らの認知機能に関して4年間継続調査しました。開始当初の検査で認知機能に問題がないとされた940人のうち、4年後の検査で200人が記憶、言語、思考力、判断力などが通常の加齢に伴う変化よりも低下が進んでいる軽度認知障害が始まっていると診断されました。食事内容と軽度認知障害の発症との関係を分析したところ、調査開始時点で最も多くの炭水化物を摂取しているとされたグループの高齢者は、炭水化物摂取が最も少ないグループの高齢者の約2倍も軽度認知障害発症リスクが高いことがわかりました。
また砂糖摂取量が最も多かったグループも、最も低いグループの1.5倍の発症リスクでした。一方脂肪摂取量が最も多かったグループは最も低かったグループよりも42%、タンパク質を最も多く摂取したグループは、最も低いグループより21%それぞれ発症リスクが低いことも明らかになりました。
こうした要因をすべて考慮に入れて発症リスクを算出した結果、炭水化物ばかり多量に摂取する食事内容の炭水化物摂取最高レベルグループの高齢者は、そうではない高齢者と比べて3.6倍も軽度認知障害リスクが高いという結果になりました。
この結果について博士らは、多すぎる炭水化物は体内のブドウ糖とインシュリンの代謝に悪影響を与えること、また適量の砂糖の摂取は脳機能に必要だが、過剰になれば2型糖尿病に見られるように脳にマイナスであり、高齢者は栄養のバランスがとれた食事内容にすることが認知機能の低下を予防する上で重要だとしています。