コラムColumn
【メディカル】カレーを食べていると前立腺がんの転移リスクが低下する可能性!
病気食
Posted on 2012.10.20
日本人の大好きなカレー。カレーの黄色い色はウコン(ターメリック)によるものですが、このウコンの有効成分であるポリフェノールのクルクミンに前立腺がんの転移を抑制する効果があることが、ドイツ・ミュンヘン大学(ルートヴィッヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン)のBeatrice Bachmeier博士らが、Carcinogenesis 2012年10月5日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。
前立腺がんは欧米の男性にとって最も身近ながんの1つであり、我が国でも食生活の変化に伴い増加傾向にありますが、しばしば自覚症状のないまま腫瘍が骨やリンパ節、他の臓器に転移してしまってから発見されることもあり、死に至ることも稀ではありません。
博士らはこれまでも、クルクミンの効果を研究しており、クルクミンが炎症作用を減少させることから前立腺がん予防にも効果があると考えていましたが、今回は前立腺がんの転移に対する効果を分子レベルで詳しく分析しました。前立腺がんは、しばしば慢性炎症反応に随伴しており、炎症促進性サイトカインの一種であるタンパク質CXCL1とCXCL2が産生されていますが、博士らはマウスを使った実験で、クルクミンが特にこれら2つのタンパク質を減少させていることを発見しました。
またこの効果は腫瘍転移の発生率を減らすことにも関連していることも明らかになりました。博士らによるとクルクミンの働きによって、がん細胞が腫瘍転移を促進する上記のサイトカインの産生が抑制され、転移が減少したということです。
クルクミンは毎日8gまでの摂取なら安全であることが確認されているので、博士らは前立腺肥大症の患者などを対象に実際のクルクミンの予防効果を詳しく確認していきたいとしています。