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片頭痛は脳の構造を変えてしまうかもしれない

病気脳

Posted on 2013.9.1

片頭痛は、ずきんずきんとする痛みが3時間から長いときには3日も続き、体を動かすと痛みが増悪し、吐き気を感じたり、あくびが増えたり、光や音に敏感になることが特徴です。頭痛が始まる前に目の前にギザギザした光が見えたり、視野が欠けたりする前兆が起こる場合があります。このような誰にでもよく起こる片頭痛には、実は脳の白質に恒久的な変性を引き起こすリスクを高める可能性があることが、デンマークのコペンハーゲン大学の研究者らによって明らかになり、2013年8月のオンライン版『Neurology』で発表されました。脳の白質部分の病変は認知症や脳卒中患者さんの脳に多く見られ、これらの病気との関連性が指摘されています。片頭痛は、一時的に発作のように頭痛が生じるもので、永続的に脳の構造を変化させてしまうことについてはあまり知られていませんでした。この研究は1989年から2013年までに行われた片頭痛患者のMRI画像を含んだ13の臨床研究データをもとに分析されたものです。研究者らによると、前兆のある片頭痛を訴える人は、片頭痛のない人よりも脳の白質に変性が見られることが68%も多く、前兆発作のない片頭痛の場合は、34%ほど高いことが明らかになったということです。研究結果から、前兆のある片頭痛の方が、脳の構造を変えてしまいやすいようですので、十分注意してください。原因は脳の血管が拡張することによって血管の近くの神経を圧迫したり刺激することが有力視されています。繰り返し片頭痛が起きている人は、脳の委縮や白質の変性が進んでしまう前に、良い治療薬も開発されているので、頭痛専門外来に相談するといいでしょう。
Neurology
Source reference: Bashir A, et al "Migraine and structural changes in the brain: A systematic review and meta-analysis" Neurology 2013; DOI: 10.1212/WNL.0b013e3182a6cb32.