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カロリー制限で認知症の発症が防げる可能性!
病気食
Posted on 2013.7.16
カロリー制限で認知症の発症が防げる可能性!
カロリー制限することがさまざまな生物種の寿命を延ばしたり、加齢ともに増加するアルツハイマー病などで見られる神経変性に伴う脳の変化を遅らせたり少なくさせる可能性などがこれまでの実験研究で示唆されていますが、マサチューセッツ工科大学のJohannes Gräff博士らがThe Journal of Neuroscience 2013年5月22日号に発表したマウスを使用した実験研究でカロリー制限することが、老化に伴って生じる脳の劣化を防ぐ働きをしているのではないかとされているサーチュイン1という酵素を活性化することが明らかになりました。
これまでの研究からサーチュイン1が脳の劣化を防ぐことが示唆されており、カロリー制限がこの酵素の活動と繋がっているのではないかと考えた博士らは加齢に伴う脳神経の劣化がより早く進むタイプの遺伝形質を持つように操作して生まれたマウスを使用して実験を行いました。
これらのマウスに通常より30%カロリーを減少させた食事を3ヶ月与え、学習と記憶のテストを行い、通常のカロリーを与えたマウスと比較しました。その結果、30%カロリーを制限された食事を与えられたマウスは通常よりも脳神経変性が遅く始まっただけでなく、学習と記憶能力の劣化からも免れていました。
次に博士らは同種のマウスにサーチュイン1を経口投与したところカロリー制限と同様の効果があることが分かりました。
博士らは今後、マウス以外でもこうした効果があるのかどうかについて詳しい研究を実施したいとしています。
The Journal of Neuroscience 2013年5月22日号