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不況はがんより怖い! リーマンショック後にがん死亡者数が急増していた

病気

Posted on 2016.6.14

t02200147_0400026713663800641ハーバード大学、ロンドン大学、オックスフォード大学などが大規模な調査結果を分析した結果、不況の影響によってがん関連死が増加することが明らかになり、2016年5月の『Lancet』で発表されました。
こ の研究は、1990年~2010年までの世界70か国以上、20億人に関するがん死亡者数、失業率、医療関連支出などについて分析したところ、2008 年~2010年の俗に言う「リーマンショック」の期間は、他の期間に比べて、約26万人も過剰にがんの死亡者が多かったということです。
この調査結果によると、2008年~2010年のリーマンショック直後の期間には、治療可能と思われる前立腺がん、大腸がん、乳がんによる死亡者数の増加が目立っていたことも指摘されました。
伊 勢志摩サミットや消費税引き上げ延期の発表で、安倍首相が使っていたことでも注目されている「リーマンショック」は、2008年9月にアメリカの大手証券 会社リーマン・ブラザーズが経営破綻したことから始まった世界的な金融危機。低金利で低所得者向けに住宅ローンを貸し付けて、地価が高騰し、景気が上昇す ると思われた矢先に大不況となり、ローンを払えなくなった人々が次々と住宅を売却したため地価も暴落。住宅ローンを貸し付けていたリーマンブラザーズも、 経営が悪化して倒産。その余波が世界の金融機関に飛び火して、世界的な金融不況となりました。
Economic downturns, universal health coverage, and cancer mortality in high-income and middle-income countries, 1990–2010: a longitudinal analysis. The Lancet, May 2016