コラムColumn
皮膚の細胞が30年若返る実験に成功
病気美容
Posted on 2022.4.21
老化した皮膚を30年前の皮膚に若返らせることに英国ブラハム研究所が成功し、その研究内容について2022年4月の「eLife」で報告されました。研究者らは 'maturation phase transient reprogramming' (MPTR) 法という成熟した幹細胞の一時的な再プログラミング法を新たに開発し、これを用いて高齢者の皮膚の線維芽細胞を若返りを試みたところ、細胞の見た目も、ゲノム解析の結果も、細胞の能力も約30年前の細胞と同じ機能、ここではコラーゲンの再生能力を検証し、若い細胞と同じ能力を持つことが明らかになりました。この方法はiPS細胞よりも短期間で細胞再生を実現できたことも報告しています。研究者は、 線維芽細胞は、骨、皮膚の腱、靭帯に見られる分子であるコラーゲンを生成し、組織に構造を提供し、傷を癒し、若返った線維芽細胞は、再プログラミングプロセスを受けなかった対照細胞と比較して、より多くのコラーゲンタンパク質を産生することが確認されているため、将来的には傷の治癒に活用する細胞の開発に応用できる可能性を報告します。 また白内障やアルツハイマー病など、加齢に伴う病気の発症を誘発する遺伝子を若返らせることによって、病気の発症を抑制できる可能性についても説明しています。
【出典】 Diljeet Gill, Aled Parry, Fátima Santos, Hanneke Okkenhaug, Christopher D Todd, Irene Hernando-Herraez, Thomas M Stubbs, Inês Milagre, Wolf Reik. Multi-omic rejuvenation of human cells by maturation phase transient reprogramming. eLife, 2022; 11 DOI: 10.7554/eLife.71624