コラムColumn

炎症性サイトカインIL-17が皮膚の老化を促進

病気美容老化

Posted on 2023.6.15

スペインのバルセロナ生物医学研究所の新しい研究によると、炎症性サイトカインIL-17が皮膚の老化に重要な役割を担っていることが明らかになり、2023年6月8日の「Nature Aging」に掲載されました。

炎症性サイトカインの一種であるIL-17は、乾癬の炎症を引き起こす原因物質であることが明らかになっています。

皮膚の老化は、加齢に伴う劣化と脆弱性に徐々に寄与する一連の構造的および機能的変化によって特徴付けられます。 老化した肌は再生能力が低下し、治癒能力が低下し、バリア機能が低下します。

研究者は、皮膚の老化は、軽度で持続的な炎症と関連しており、皮膚ではIL-17の大幅な増加が特徴として挙げられ、これが皮膚の老化や劣化を引き起こしている可能性が高いと述べています。

Nature Aging誌に掲載されたこの研究は、加齢に伴ってさまざまな種類の細胞が受ける変化を説明し、皮膚の一部の免疫細胞がどのように高レベルのIL-17を発現するかを特定しています。

前述したように、IL-17 が乾癬などの自己免疫性皮膚疾患の発病に関連していることが明らかになっており、現在ではこのIL-17タンパク質をブロックする治療法が開発されています。

そこで研究者チームは、毛包の成長、経表皮水分喪失、創傷治癒、老化の遺伝マーカーなど、IL-17活性を阻害した場合のさまざまな側面の反応を分析した結果、IL-17の働きを阻害するとこれらの皮膚老化特性のスコアが大幅に低下し、皮膚老化が治療後に改善したことが明らかになりました。

この結果は、IL-17が皮膚老化に関連するさまざまな機能に関与していることを示しています。このタンパク質の機能をブロックすると、皮膚の老化に関連するさまざまなダメージを遅らせることが観察されました。この発見は、乾癬や皮膚老化の症状の軽減や手術後の皮膚の回復の促進など、いくつかの疾患を治療するための新たな可能性の扉を開きます。

【出典】

Paloma Solá, Elisabetta Mereu, Júlia Bonjoch, Marta Casado-Peláez, Neus Prats, Mònica Aguilera, Oscar Reina, Enrique Blanco, Manel Esteller, Luciano Di Croce, Holger Heyn, Guiomar Solanas, Salvador Aznar Benitah. Targeting lymphoid-derived IL-17 signaling to delay skin aging. Nature Aging, 2023; DOI: 10.1038/s43587-023-00431-z