北米放射線学会(RSNA)の年次総会で発表された研究では、認知症の初期症状が現れる20年前から、特定の体脂肪とアルツハイマー病の脳内異常タンパク質(アミロイドとタウ)の関連が明らかにされました。
この研究は、認知機能が正常な中年期の80人(平均年齢49.4歳、女性62.5%)を対象に行われ、参加者の57.5%が肥満で平均BMIは32.31でした。研究者らは、脳のPETスキャン、体のMRI、代謝評価、脂質パネルを用いて、内臓脂肪や皮下脂肪、インスリン抵抗性、HDL(善玉コレステロール)などとアルツハイマー病の病理との関連を調査しました。
その結果、内臓脂肪が高いことがアミロイドの増加と関連し、BMIが高いことがアミロイド蓄積に与える影響の77%を占めることが判明しました。一方、皮下脂肪や他の脂肪では同様の関連は見られませんでした。また、インスリン抵抗性が高くHDLが低い場合、アミロイドの増加が見られましたが、HDLが高い場合は内臓脂肪の影響が軽減されました。さらに、内臓脂肪が脳血流を低下させる可能性も示唆されました。
研究者らは、肥満や内臓脂肪がアルツハイマー病リスクに与える影響を強調し、生活習慣の改善や減量薬が、アルツハイマー病の予防やリスク軽減に寄与する可能性を指摘しています。この研究は、肥満がアルツハイマー病のリスクを高める仕組みを解明する重要な一歩と評価されています。
【出典】Radiological Society of North America. "Hidden fat predicts Alzheimer's 20 years ahead of symptoms." ScienceDaily, 2 December 2024.