コラムColumn
精神的ストレスが心臓病を誘発するメカニズムが男女で異なる
心理
Posted on 2018.12.2
ストレスに弱いのは男性か女性かという議論は多いですが、
強い怒り、不安、悲しみなどが、
男女に関係なく心臓に悪影響を及ぼすことは明らかです。
実は精神的ストレスによって心臓病を誘発するメカニズムが
男性と女性では異なる可能性があることが指摘されました。
これは米国エモリー大学の研究によるもので、
2018年11月の『Journal of Biobehavioral Medicine』で発表されました。
研究は61歳以下の心臓病患者276人(男性141人、女性135人)を対象に実施されたもので、
被験者には運動によるストレス、薬理学的ストレス、
精神的ストレス(人前でスピーチするなど)を行った際の、
心筋の血流の変化を調べました。
その結果、性別に関係なく精神的なストレスが、
心臓の血流を悪化させることが明らかになりましたが、
男性は精神的ストレスによって冠動脈(心臓の太い動脈)の血流悪化が起こることで、
心臓病リスクを高めているのに対して、
女性は精神的ストレスによって冠動脈のような太い血管ではなく、
細い動脈などの微小循環の血流悪化が心臓病リスクを高めるのではないかと推察しています。
研究者らは、精神的ストレスが心臓病を引き起こすことは明らかで、
心臓病を発症させるメカニズムが男性と女性では異なることを
さらに詳しく研究して、男性、女性それぞれに合った予防法を見つけ出す必要があると述べています。
Zakaria Almuwaqqat, Samaah Sullivan, Muhammad Hammadah, Bruno Bezerra Lima,
Amit J. Shah, Naser Abdelhadi, Shuyang Fang, Kobina Wilmot, Ibhar Al Mheid, Douglas Bremner,
Ernest V Garcia, Jonathan A Naye, Lisa Elon, Lian Li, Wesley T O’Neal, Paolo Raggi, Arshed Ali Quyyumi,
Viola Vaccarino.
Sex-Specific Association between Coronary Artery Disease Severity
and Myocardial Ischemia Induced by Mental Stress.
Psychosomatic Medicine, 2018