コラムColumn
【メディカル】少年少女期に同級生から受ける言葉の暴力が、脳を変質させ精神・神経性疾患への脆弱性に繋がる!
心理教育、子育て
Posted on 2010.12.28
米国・ハーバード大学医学部Martin H. Teicher博士らが、American Journal of Psychiatry 12月号に発表した研究で、少年期に同級生から受けた言葉の暴力・言語的虐待によって脳が変質し、青年・成人期以降の精神・神経疾患の発症につながることが明らかになりました。
博士らは以前の研究で、子供の頃に受けた親の言葉の暴力・言語的虐待が、青年期の精神・神経疾患に結びつくことを明らかにしていますが、同級生による言語的虐待にも、同様の影響がある可能性が大きいということで、調査・研究しました。
研究は子供の頃の同級生からの言語的虐待の及ぼす疾患・症候的影響と、神経解剖的影響を調査する目的で、家庭内暴力・性的虐待・両親や同級生などからの身体的虐待を受けたことのない848人の青年男女(18-25歳、男性363人女性485人)と、比較対照群として虐待的なものを一切受けたことのない707 人の青年男女(18-25歳、男性298人女性409人)を対象に、質問紙と拡散テンソル画像を用いて行われました。
データを分析した結果、11歳から14歳にかけての時期が、同級生からの言語的虐待に特に脆弱で、青年期の精神神経疾患(不安症、うつ病、解離、薬物使用、大脳辺縁系過敏など)に、つながりやすいことがわかりました。また大脳の拡散テンソル画像を分析した結果、言語的虐待に晒された程度・度合いと、脳梁の異常に関連性があることも明らかになりました。
博士によると、同級生の言語的虐待によってうつ病は2倍、不安症と大脳辺縁系過敏(短い幻覚症状と視覚障害などが生じるものなど)は3倍、解離は10倍も発症リスクが増加しており、言語による虐待が、いかに大きな負の影響を人の精神・神経の発達に与えるかが確認されたとしています。