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【メディカル】仲間はずれにされて生じた心の傷・痛みは永く深いものになる!
心理
Posted on 2011.6.11
米国・インディアナ州パデュー大学のKipling D. Williams教授らがCurrent Directions in Psychological Sciences 2011年4月号に発表した研究で、仲間はずれにされて生じる心の傷による痛みが、一般に考えられているよりも、そして場合によっては 身体的な傷よりも、深くかつ永く続くものであることが明らかになりました。
教授らは仲間はずれにされて、心の痛みが生じた際、脳のどの部分 が反応するのか、先行研究に基づき、調査した結果、身体の傷によって生じる痛みに反応する背側前帯状皮質が同じように活動していたことから、社会的な関係 によって打ちひしがれると、体が傷を受けた場合と同様に、痛みが生じていることが確認できました。
そして教授が開発したわずか2-3分間だ け見知らぬ人々から仲間はずれにされ、無視される体験をするコンピューターゲームを、5000人以上の被験者を対象に実施したデータを分析した結果、見知 らぬ参加者と顔を合したわけでもなく、かつわずかな時間にもかかわらず、被験者たちのネガティブな気分や感情は、長く続くことがわかりました。
教授によると仲間はずれの体験は、まず最初にまわりから無視され排除される段階、次にその事態に何とか対処しようとする段階、最後があきらめの段階、の3段階に分けられるということです。
最初の体験で辛い気分を味わい、そのことが対処しようと被害者の性格を卑屈に変え、好かれないことを心配する気持ちがなくなり、存在することを認めてもらう だけで良いという気持ちに変わり、しかしながら心の痛みが続くため、対処しようという気持ちが失われ、怒りや悲しみが続き、そして疎外感、抑うつ感、絶 望、自分が無価値である感覚、などに取り憑かれてしまう最終段階となるということです。
教授は一般人や臨床家が抑うつなどの心理的な障害を避けるために、もっと学校や職場での仲間はずれ体験が引き起こす問題の重大さを知る必要があるとしています。