コラムColumn
災害や不況のニュースに曝されると人は大食し高カロリーの食事を取りたくなる!
心理肥満食
Posted on 2013.1.26
ストレスを感じると高カロリー食品を食べたくなってしまうことはこれまでの研究で知られていますが、米国・マイアミ大学のJuliano Laran博士らが、Psychological Science 2013年1月9日オンライン版に発表した研究で、人は景気の悪化など経済危機や災害の惨状を伝える情報に接すると、無意識のうちに高カロリー食品に手を出しやすくなってしまうことが明らかになりました。
博士らは被験者を2グループに分け、Aグループには生きることの困難さを感じさせる不況や災害などの情報を、Bグループにはそうした困難さとは無縁のニュートラルな情報を提示した後で、自由に食事をさせるような複数の実験を行いました。
両グループの食べた量を比較したところ、生きていくことの困難さを感じたAグループは、Bグループより平均40%も多く食べていることが分かりました。
実施された中のある実験では、被験者は粒チョコレートの新製品の味に関して評価することを求められるものでした。
被験者は2グ ループに別けられ、両グループとも同様に目の前にチョコの入ったボウルが置かれ、被験者には内緒で実際は全く同じ商品でしたが、片方には新開発の秘密の成 分が入った高カロリーチョコであるとし、もう一方には新開発の低カロリーのチョコであると知らせた上で、好きなだけ食べて味の評価を行うように教示されま した。
被験者たちは実験開始前に生きることの困難さ、環境の過酷さを伝える内容の文章の入ったポスターを目にするグループと、ニュートラルな文面のポスターを 目にするグループに別けられていました。
実験の結果、困難さを目にしていた被験者は、味の評価の際に無意識のうちに高カロリーチョコと言われたチョコを、低カ ロリーチョコと言われたものよりも、70%も多量に食べていました。
一方ニュートラルなポスターを目 にした被験者には、チョコの違いによる変化はありませんでした。
博士らは、これらの実験から生きることの困難さや将来への危機を感じると、無意識のうちに人間は大 食、高カロリー食になってしまうことが明らかで、今後肥満予防の観点から、こうした生存を脅かす負の情報の影響を、どのように緩和して健康的な食生活に向か わすのかが大事になってくるとしています。
Psychological Science 2013年1月9日オンライン版