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友人や家族が大切な理由~脳は「共感」で大切な人と結びつき守り合う

心理

Posted on 2013.8.29

ヒトとそれ以外の動物との決定的な違いは、私たち人間には「共感」や「感情移入」をする能力があるということだと言われています。アメリカヴァージニア大学の研究で、人の脳は見ず知らずの人が脅威にさらされたときと、友人や恋人、家族が脅威にさらされたときでは、脳の反応が全く異なり、友人や恋人、家族が脅威にさらされたときには、自分が脅威にさらされたときと同じ反応を示すことがわかり、2013年8月号の科学雑誌『Social Cognitive and Affective Neuroscience』に詳細が掲載されます。これは22人の成人の被験者を対象に、他人、友人、自分が脅威にさらされたときの脳の動きをfMRIの画像を分析して調べた結果によるものです。その結果、自分と友人・家族が脅威にさらされたとき、私たちの脳はとてもよく似た反応を示し、島皮質、被殻、縁上回などが活発に活動するのに対して、赤の他人が脅威妊さらされたときには、これらの部分に変化がなく、まったく違う動きをしていました。研究者らは今回の研究によって、友人や家族などに対して共感が生まれるのは、脅威を感じたときにお互いを守り合って命を守るようにするために、進化の過程で身に付けた能力ではないかと推察しています。
L. Beckes, J. A. Coan, K. Hasselmo. Familiarity promotes the blurring of self and other in the neural representation of threat. Social Cognitive and Affective Neuroscience, 2012; 8 (6): 670 DOI