コラムColumn
「目」があるとポイ捨てが激減
心理
Posted on 2015.12.2
イギリスのニューキャッスル大学の研究によると、人の目をプリントしたパンフレットや掲示物があると、人はゴミのポイ捨てをはじめとする反社会的な行動をしなくなることが明らかになり、2015年12月の科学雑誌『Peer J』で発表されました。
この研究に先だって同大学で2013年に行われた実験では、「自転車泥棒に注意してください。自転車のカギをかけてください」というメッセージを、男性の目がくっきりと印刷されたパンフレットとして、人々に見せたところ、62%も自転車の盗難が減少したそうです。
そ こで次の研究では、何のメッセージも書かずに、ただ人間の目がくっきりと印刷されたパンフレットを被験者に見せたところ、その後にポイ捨てを行った人は 4.7%に留まったのに対し、人間の目が不明瞭なパンフレットを見せた場合は、その後にポイ捨てを行った確率が15.6%にのぼりました。つまり、人間の 目がはっきりと印刷されたパンフレットを見せることで、ポイ捨てを3分の2も減らすこと ができることがわかったのです。
研究者らは、この結果について、私たちは、ひと目を気にすることで反社会的な行動をとらないように努力 し、さらに好感をもたれるような行動をとろうとしますが、ひとたびひと目が気にならなくなると、その抑制が取れて、反社会的な行動をとる可能性が高くなる 傾向があると指摘しています。そしてこのような人間の反社会的な行動を抑制するためには、「人に見られている」「他人の目を意識させる」ことが重要で、実 際のリアルな人間の目ではなく、写真やイラストだけであっても、十分に有効な反社会的な行動を抑制するツールになることが明らかになったと述べ、たとえば ファーストフード店のパッケージに人間の目を印刷することで、食べ終わったパッケージをポイ捨てせずに、きちんとゴミ箱に捨てるようになる人が多くなるの ではないかと指摘しています。
Melissa Bateson, Rebecca Robinson, Tim Abayomi-Cole, Josh Greenlees, Abby O’Connor, Daniel Nettle. Watching eyes on potential litter can reduce littering: evidence from two field experiments. PeerJ, 2015