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ネガティブ思考はアルツハイマー病のリスクを高める
心理老化脳
Posted on 2020.6.14
英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが2020年6月7日の『Alzheimer's & Dementia』(アルツハイマー協会発行)に掲載した論文によると、ネガティブ(否定的)な思考パターンが、アルツハイマー病のリスクを高める可能性があるそうです。
この研究は、中高年期のうつ病と不安症が、認知症発症の危険因子であることが既に知られていることから、その根底にあると思われるネガティブな思考パターンが、認知症のリスクを高めている可能性があると推察してはじめられました。
研究は、55歳以上の292人( アミロイドPET検査とタウ-PET検査を行った113人を含む)に対して、認知機能評価、および不安、うつ傾向、ネガティブな思考に関するアンケート調査を実施しました。
その結果、よりネガティブ思考が強い人は、記憶力の低下を含む認知機能の低下と、アミロイドとタウタンパク質の沈着がより多いことが判明しました。
この結果について研究者は、 メンタルヘルスの管理は重要であり、短期的には人々の健康と福祉にとって重要であるだけでなく、長期的には認知症の最終的なリスクにも影響を与える可能性があると述べています。さらにネガティブ思考が引き起こす高血圧などの生理学的なストレスが、アルツハイマー病リスクや記憶力の低下に関係している可能性があると推察し、さらに否定的な思考をやめることで、認知機能が改善するかどうかについても今後検討していくそうです。
【出典】
Natalie L. Marchant, Lise R. Lovland, Rebecca Jones, Alexa Pichet Binette, Julie Gonneaud, Eider M. Arenaza-Urquijo, Gael Chételat, Sylvia Villeneuve. Repetitive negative thinking is associated with amyloid, tau, and cognitive decline. Alzheimer's & Dementia, 2020; DOI: 10.1002/alz.12116