コラムColumn
呼吸とヨガがメンタルヘルスを改善
心理教育、子育て
Posted on 2020.8.3
米国エール大学の研究によると、呼吸とヨガのポジティブなポーズが大学生のメンタルヘルスを改善させたことが明らかになり、2020年7月15日の『Frontiers in Psychiatry』に掲載されました。
研究者によると、米国大学生のメンタルヘルスは、ここ10年間で悪化傾向にあり、2009年から2014年にかけて、メンタルヘルスに関して問題を抱えてカウンセリングを受ける学生の数が30%も増加したそうです。
これに対して、カウンセリングセンターのディレクターの57%は「学生のニーズを満たすために十分なプログラムが存在しない」と回答。
このため、学生のメンタルヘルス改善のための最適なプログラムについて研究を進めました。
研究には135人のエール大学の学生が協力し、①SKY(スカイ・キャンパス・ハピネス・プログラム)~ヨガのポーズ、呼吸エクササイズ、呼吸ベースの瞑想テクニック、ポジティブな心理的スキル(感謝、社会的つながり、親切な行動、目的意識など)、リーダーシップなどについて考えるプログラム、②EI~感情の種類や、感情をコントロールする能力を高めるプログラム、③MBSR~マインドフルネスがベースの瞑想とボディスキャン(頭からつま先までの体型的な認識能力を高める)、という3つのプログラムを比較しました。
その結果、最も学生の評価が高かったのが、呼吸法の練習で、運動前や勉強前などに集中力を高めたり、疲れや緊張を緩和するために有効だったという感想が多数だったということです。
研究者は、呼吸法や瞑想法を学生時代に習得することで、その後の人生のメンタルヘルスの維持と改善に役立つことが期待できること、さらにCOVID-19感染症の影響で増大した不安やストレスにどう対処するかについて、大学教育の中でもっと積極的に取り組んでいくべきことを指摘しています。
【出典】
Emma M. Seppälä, Christina Bradley, Julia Moeller, Leilah Harouni, Dhruv Nandamudi, Marc A. Brackett. Promoting Mental Health and Psychological Thriving in University Students: A Randomized Controlled Trial of Three Well-Being Interventions. Frontiers in Psychiatry, 2020; 11 DOI: 10.3389/fpsyt.2020.00590