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幸福度を高めるには悪く考えない

心理脳

Posted on 2021.9.17

あなたが朝、せっかく買ったコーヒーをこぼしてしまったら、くよくよ考えないほうが幸福になれそうです。米国マイアミ大学の研究によると、小さなネガティブな感情が脳の扁桃体に長期間、記憶されていると、ネガティブに物事を考えやすくなり、幸福感が低下することが明らかになり、2021年3月の『Journal of Neuroscience』で発表されました。この研究は、1995年から2002年に米国老化研究所が中心となって行われた「MIDUS」という調査データを分析したもので、MIDUSに参加した52人の参加者に約1週間にわたり電話による聞き取り調査(日々起こった出来事をポジティブにとらえているか、ネガティブにとらえているかを評価するための調査)と、ポジティブでもネガティブでもない「中立的」な写真を見せながらそれを評価する際にfMRI検査を行い、脳の活動状態を画像化しました。その結果、ネガティブな情報に対してより短く左扁桃体が反応した人ほど、日常生活で肯定的でネガティブな感情を抱きにくいことがわかりました。逆にネガティブな情報に対して発生した左扁桃体の反応が、より長く続いた人ほど、日常生活でよりネガティブな感情を抱き、ポジティブな感情を抱きにくいことが明らかになりました。この結果について研究者は、扁桃体の持続性が高い人は、否定的な記憶や感情が増幅・持続される可能性があり、扁桃体の反応が、人々の幸福感や人生の充足感を高めたり、うつ病や不安障害などの予防や治療のカギを握っていると評価しています。

【出典】Nikki A. Puccetti, Stacey M. Schaefer, Carien M. van Reekum, Anthony D. Ong, David M. Almeida, Carol D. Ryff, Richard J. Davidson, Aaron S. Heller. Linking Amygdala Persistence to Real-World Emotional Experience and Psychological Well-Being. The Journal of Neuroscience, 2021; JN-RM-1637-20 DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1637-20.2021