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初心者でもピアノで脳機能とうつが改善

心理老化脳

Posted on 2022.12.6

大人が毎週1回のピアノのレッスンを11週間続けた結果、うつ傾向やストレスが軽減し、視覚や音を処理する脳の機能が向上したことが、英国バース大学の研究で明らかになり、2022年11月の「Scientific Reports」で紹介されました。
この研究は、ピアノ初心者の成人31人を対象に11 週間にわたって週に 1 時間だけピアノのレッスンを受けるグループと、音楽鑑賞するグループ、読書や勉強をするグループに分けて比較しました。

その結果、ピアノのレッスンを受けたグループは、レッスンを開始してからわずか数週間以内に、視覚と聴覚などの多感覚情報を処理する能力が向上することを発見しました。改善された「多感覚プロセス」は、車の運転や道路の横断、人混みの中で誰かを見つけること、テレビを見ることなどの活動にメリットをもたらすということです。

さらに多感覚プロセスの改善は、音楽的能力を超えて改善され、ピアノのレッスンを受けた人は、音と視覚の「イベント」が同時に発生したかどうかを判断するように求められたテストで、より高い精度を示しました。これは、フラッシュとビープ音を表示する単純なディスプレイと、話している人を示すより複雑なディスプレイの両方に当てはまりました。このような個人の認知能力の微調整は、音楽鑑賞グループ (参加者が音楽グループが演奏するのと同じ音楽を聴いた)、または読書や勉強をしたグループ には存在しませんでした。

また驚いたことにピアノレッスンの効果は、認知能力の改善にとどまらず、レッスン後にうつ病、不安、ストレスのスコアが減少したことも示しました。研究者らは、音楽トレーニングはメンタルヘルスの問題を抱える人々にとって有益である可能性があると示唆しており、これを検証するためのさらなる研究が現在進行中です。

これらの研究結果について研究者は、脳の可塑性が低下している成人期であっても、脳が視聴覚情報を処理する方法に有意でプラスの影響を与えることを示唆していると評価しています。さらにピアノのような楽器を演奏することを学ぶのは複雑な作業で、スコアを読み、指の動きを生成し、聴覚と触覚のフィードバックを監視して、さらなる行動を調整する必要があり、これを訓練することが、多感覚トレーニングに結びつき、結果として脳機能やうつ傾向の改善に結びついたと分析しています。

 

【出典】

Yuqing Che, Crescent Jicol, Chris Ashwin, Karin Petrini. An RCT study showing few weeks of music lessons enhance audio-visual temporal processing. Scientific Reports, 2022; 12 (1) DOI: 10.1038/s41598-022-23340-4