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嫌なことが頭に浮かんだら、あれこれ考えない

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Posted on 2023.8.16

思い出したくないことや、嫌な思い出、考えたくないことは、なかなか頭から離れずに「ああすればよかった」「こう言われて悔しい」「不公平だ、理不尽だ」などと思いを巡らしてしまうものです。

イスラエルのヘブライ大学の研究によると、思い出したくないこと、考えたくないことが頭に浮かんだときに、それについていろいろ考えずに、積極的に回避することが重要であることがわかり、その研究成果が2022年7月の「PLOS Computational Biology」に掲載されました。

この研究は、英語を話す成人の研究協力者80人を対象に行われました。研究協力者には、PC上でさまざまな単語を見せて、片方のグループには、その単語について連想を繰り返すとボーナスがもらえないと伝えて、人々の思考と反応についての様々なデータを分析しました。

その結果、人は望まない思考から逃げることはできないものの、望まない思考の印象を薄くすることもできるし、望まない思考を無限ループのように繰り返し考えてしまうことも回避することができることがわかりました。そしてその最も効率的な方法は、嫌なことを思い出しそうだと事前に予測して、いち早く別の方向に思考を切り替えることだそうです。

研究者は今回の研究結果をもとにして、様々な精神状態と個人差によって発生する、望ましくない思考の原因とメカニズムについて、さらに研究を進めていくそうです。

【出典】Isaac Fradkin, Eran Eldar. If you don’t let it in, you don’t have to get it out: Thought preemption as a method to control unwanted thoughts. PLOS Computational Biology, 2022; 18 (7): e1010285 DOI: 10.1371/journal.pcbi.1010285