コラムColumn
【メディカル】先天的視覚障害者は脳の視覚野を他の感覚に振り向けている!
脳
Posted on 2010.10.17
米国・ワシントンDC・Georgetown University Medical CenterのJosef P. Rauschecker教授らがNeuron 10月6日号に発表した研究で、先天的な視覚障害者は彼らの脳の視覚野を聴覚と触角を鋭敏にするために使用 していることがわかりました。
教授らはベルギー人とフィンランド人からなる12人の晴眼者と12人の先天的視覚障害者を被験者に実験を行い ました。実験は被験者に聴覚課題と触角課題を行わせながらその際にfMRI(機能的磁気共鳴画像)装置を使用して彼らの脳の画像を観察するというものでし た。課題の内容はステレオヘッドホンを装着して様々な音を聞かせ空間的にどの方向から音が聞こえたかを答えさせたり、ピエゾ電流の振動子を手の指それぞれ に装着し、かすかな振動でどの指が振動子したかを答えさせるものなどでした。脳画像を調べた結果、視覚障害者はどちらの課題でも晴眼者より視覚野が活発に 活動しており、例えば視覚障害者は音の空間課題の成績が晴眼者より優れたものであると同時に視覚野の空間認知に関わるモジュールとされている部分が活発に 活動していることがわかりました。
教授らによれば視覚障害者の脳でも視覚野の空間認知機能は活動しており、その認知機能を働かせるインプッ トが目から入る視覚的な入力ではなく聴覚や触覚に変わっていることがこの研究からも明らかであり、今後はそうした視覚障害者の認知機能を活かした視覚的刺 激を音声刺激に変換したサポート器具などの開発が可能だろうとしています。