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【ボディワーク】歩くことで記憶を司る海馬の萎縮を防ぎ、記憶力をアップできる!

脳運動

Posted on 2011.2.4

nou2歩くなどの有酸素運動で、記憶を司る脳の海馬が加齢とともに萎縮するのを防ぎ、記憶力の維持・向上につながるかもしれないことを、米国イリノイ大学 Arthur Kramer博士らが、オンライン版のProceedings of the National Academy of Sciences1月号に発表しました。
人間の海馬は、記憶を司る部分で、年に1~2%ずつ萎縮していくと言われ、それが記憶力の低下や認 知症と関係があると指摘されています。研究者らは、120人60歳以上の男女を、週に3回ウォーキングなどの有酸素運動を行うグループと、ウォーキングの 代わりにストレッチをするグループに分けて1年間比較しました。実験前、実験開始6ヶ月後、実験終了時の1年後に被験者の記憶機能と運動機能、そして MRIで海馬の大きさ(量)を測定しました。
その結果、ウォーキングを週に3回1年間継続したグループでは、海馬が2%増大していたのに対 し、ストレッチをしていたグループは、海馬が1.4%萎縮していました。さらに、運動機能の改善が、海馬の増大と関係していることもわかりました。これ は、運動、特にウォーキングをすることによって、海馬が司っている物体の位置、方向、姿勢、大きさ、形などを立体的に把握・認識する能力を使うようにな り、その能力が高まることと関係していると推察されるようです。さらに実験開始の時点で海馬がより大きい人は、運動することでより記憶機能が改善されるこ ともわかりました。
研究者らは、ウォーキングなどの有酸素運動は、明らかに脳の神経回路の老化予防に役立ち、60歳以上の年齢になってから始めても、脳機能の改善効果は十分にあると述べています。