コラムColumn
【ライフスタイル】携帯電話の電波は使用者の脳活動に影響を与えている
脳
Posted on 2011.2.27
米国・メリーランド州べセスダの米国・国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)のNora Volkow博士らが、JAMA(Journal of the American Medical Association)2011年2月23日号に発表した研究で、長時間携帯電話を耳にあてて使っていると、携帯電話のアンテナに近い部分の大脳の活動 が活発化することが明らかになりました。
博士らはこれまでに携帯電話の使用による電磁波が脳に悪影響を与え、脳腫瘍などに繋がる可能性が指摘されてきたにもかかわらず、具体的に携帯電話の使用中に、どのような影響が脳に生じているのかを調査した研究が、ほとんどないことから実験を行いました。
実験は健康な成人47人を対象にフッ化デオキシグルコースを注射してPET(ポジトロン断層法)により、脳のグルコース代謝を調べるというもので、①50分 間携帯電話を左右両方の耳に当てて、右の携帯電話だけ電源を入れた状態にしてどうであるか ②左右両方とも電源を切って両耳に当ててどうであるか、という 二つのケースの違いを比較して調べる実験でした。実験の結果、脳全体の代謝に関しては、両者に違いは見られませんでしたが、電源が入っていた時のほうが、 アンテナに近い大脳の部分である「眼窩前頭皮質」と「側頭極(側頭葉の前端)」のグルコース代謝が高くなっていました。
博士は、最新の携帯電話から発せられる高周波電波が、微弱なものであっても脳の活動に影響を与えていることが、この実験から明らかであることが判明し、このことが脳の健康に害を及ぼすかどうか、長期的にどのような影響があるかは、今後の研究課題であるとしています。