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政治的見解の違いは脳構造に由来する!

Posted on 2011.4.12



英国・University College London, Institute of Cognitive NeuroscienceのRyota Kanai(金井 良太)博士らがCurrent Biology 2011年4月7日オンライン版に発表した研究で、
リベラル主義と保守主義など政党支持の基礎となる政治的な見解・志向性は、人間の脳構 造の違いに由来するものであり、それぞれの個人の有する脳構造の違いが政治的な志向性として反映されての結果である
ことが明らかになりました。

博 士らはこれまでの研究で保守的な人は危険に関してより敏感であり、不確かなことに対してより不安を感じやすく、リベラルな人は新しい経験により開放的であ ることが示されてきたことから、こうした傾向が脳の構造に由来する可能性があるのではないかと考え、脳構造と政治的志向性の関係について研究を進めまし た。

多数の20代以上の青年を対象に彼らの政治的態度を調査した上で、structural MRI(形態画像診断)によって、彼らの脳の灰白質の量を調べ、データを分析した結果、リベラル志向が強いほど、脳の前帯状皮質の灰白質量が多く、保守主 義が強いほど右扁桃体が大きいことがわかりました。

博士によるとこれらの結果は、これまでに知られているリベラル志向の人の新しいことにオープンで、矛盾する情報に対処する能力がより高く、保守志向の人が脅威を認知する能力により長けていることと、脳の構造が一致することを示すものだということです。

ただし博士によれば脳の構造は若いうちにはまだ固定化しておらず、人生の経験によって長い時間のうちに形成されると言っても良いものなので、そうした変化により政治的志向性も変化することはありうることだとしています。