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【ライフスタイル】バイリンガルは認知症になり難い!
脳
Posted on 2012.4.4
英国・ヨーク大学のEllen Bialystok博士らがTrends in Cognitive Sciences 2012年3月30日オンライン版に発表した研究で、2つ以上の言語を使える人は、脳機能が良好に保たれ、認知症になり難いことが明らかになりました。
博士らはこれまでの研究で、バイリンガル能力が子供の認知能力の発達に有益であることが示唆されてきたことから、成人の認知能力に関しても、どのような影響があるのか、そしてどのようなメカニズムなのかを調べる目的で、成人バイリンガル能力者を被験者とした行動の側面からと、神経画像処理の側面からのアプローチによるバイリンガル能力と認知機能に関する複数の研究をレヴューしました。
研究の結果、バイリンガル能力の影響は成人に関しては子供より少し弱まるものの認知機能に好影響を与えており、特に高齢者において、いわゆる認知的予備力(認知機能の蓄え)という概念によって知られている機能により、認知機能の低下を防ぐという大きな役割を果たしていることが示唆されました。
そしてバイリンガル能力は認知症の症状の発症を遅らせることにも関与している可能性が高いこともわかりました。
博士らは生涯2つの言語に注意を向け続けるという経験が、特異的な脳のネットワークを再構成し、中枢機能に対してより機能的な基盤を作り、生涯にわたって認知機能をより良く保つことができるようにさせているのではないかとしています。