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【ライフスタイル】捨てられない人、買いだめ、貯めこんでしまう人の脳活動は普通とは異なる!
脳
Posted on 2012.11.15
ものが捨てられない、捨てられないのにどんどん買っては貯めこんでしまう...。このような症状を米国ではhoarding disorder(買いだめ障害・貯めこみ障害)と名付け、神経症の障害の1つとして新たな診断基準が設けられようとしています。このような障害を持つ人 の脳は、そうではない人の脳と比べてある特徴的な動きをしていることが、米国・コネチカット州ハートフォード病院のDavid Tolin博士らがArchives of General Psychiatry 2012年8月号に発表した研究で明らかになりました。
博士らは買いだめ・貯めこみ障害と診断された43人、強迫性障害と診断された31人、比較対照のための健常者33人を対象に実験を行い、行動の違いを分析しました。
実験では自分と他人に来た迷惑メールの処理の仕方、講読後の新聞の処理の仕方に関して、捨てるか残すかの意思決定の違いが長期間分析されました。
実 験の結果、買いだめ・貯めこみ障害の被験者は、強迫性障害の被験者と健常者の被験者に比べて迷惑メールや新聞を少ししか処分しませんでした。さらに処分す る意思決定の際の脳活動をfMRI(磁気共鳴画像法)によって詳しく調べたところ、買いだめ・貯めこみ障害の人の脳では、自分のものを捨てるか捨てないか を決める意思決定を行う際に、そうではない人と違って、危険を推し量り、不快な感情の喚起、感情的な判断などの際に活動する「前帯状皮質」という部分が異 常に活性化していることが明らかになりました。
こうした結果から博士らは、この部分が他の人々よりも過剰に活動してしまうことで、買いだめ・貯めこみ障害の人は捨てる判断が不可能になったり、捨てることのリスクを過剰に感じてしまうことに繋がっているのではないかと結論づけています。