コラムColumn

運動はストレスに強い脳にする

脳運動

Posted on 2013.8.24

米プリンストン大学の研究によると、運動することで、不安やストレスに強い脳が構築されることがマウスを使った研究で明らかになり、2013年5月の『Journal of Neuroscience』に発表されました。
この研究では、6週間、自由に走ることができるマウスと、走ることができないマウスに、それぞれ冷たい水に入るというマウスにとってストレスになることをして、脳の動きを観察しました。
運動をしていたマウスは、1日約4キロも走っていたそうです。
その結果、走らずに運動しないマウスの脳では、脳を急激に興奮させる「即時型遺伝子」が増えていました。これはストレスを受けたときに、その強い刺激で脳にダメージを与えないために、脳神経回路を遮断するという自己防衛的な反応です。
一方で運動していたマウスでは、脳細胞の興奮を和らげて、不安や恐怖心を減らす神経伝達物質のガンマアミノ酪酸(GABA:ギャバ)が増えていたそうです。
今まで運動は新しい脳神経細胞を作り出すことがわかっていましたが、生まれたての新しい神経細胞は、成熟した細胞よりも刺激に敏感なために、不安や恐怖などのストレス刺激にも反応しやすいはずなのに、なぜそうならないのかが矛盾点として指摘されていました。
今回の研究では、運動することで、不安を和らげる神経伝達物質GABAが増え、それがストレス耐性につながっているという、今までの矛盾を解決する可能性につながる研究結果が得られました。
Schoenfeld TJ, Rada P, Pieruzzini PR, Hsueh B, Gould E. “Physical exercise prevents stress-induced activation of granule neurons and enhances local inhibitory mechanisms in the dentate gyrus.” J Neurosci. 2013 May 1;33(18):7770-7.