コラムColumn

脳は前後関係で記憶する

Posted on 2014.3.19

記憶を司る脳の海馬では、ぶつ切りで内容だけを記憶するのではなく、前後関係、つまり時間的な脈絡で記憶していることが、カリフォルニア大学デイヴィス校の研究で明らかになり、2014年3月5日の科学雑誌『Neuron』に掲載されました。これは実験で、脳血流のようすをスキャンしながら被験者に、いろいろな絵が描かれたカードを見せて、その絵に関する情報を記憶させました。しばらくしてから、その絵を見せてそれぞれの情報について質問すると、カードを最初に見せた順番と同じ順で質問した時の方が、順番をバラバラにして質問したときよりも、正答率が高いことが明らかになりました。さらに脳血流の変化を合わせて分析した結果、研究者らは、短期記憶を司る海馬は、記憶するときに、ある事実だけを単独で覚えて格納するだけでなく、前後関係をリンクさせながら記憶していると推察しています。勉強(暗記)法でも、前後の脈絡を関連付けながら記憶すると効率がいいと言われていますが、そのとおりだったのですね。ilm19_cb02005-s
Hippocampal Activity Patterns Carry Information about Objects in Temporal Context. Neuron, 2014