コラムColumn

深い睡眠が記憶を定着させる

Posted on 2016.4.18

phm20_0150-s眠りは記憶の定着にとても重要だと言われていますが、

具体的に眠っている間に私たちの脳がどうやって記憶を定着させているかのメカニズムに関しては、まだよくわかっていません。
カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者らは、睡眠中の記憶定着のメカニズムについての新しい成果を2016年4月の『Journal of Neuroscience』に発表しました。
これによると、私たちの脳では、睡眠中に、非急速眼球運動(目玉を動かさずにぐっすり深い眠りに落ちているとき、ノンレム睡眠:NREM)睡眠および急速眼球運動(眠りながらまぶたを閉じて目玉がぐるぐる動いている状態、レム睡眠、REM)睡眠で構成されています。
だいたい 8時間の睡眠中に、4~5サイクルのレム―ノンレム睡眠のサイクルがあり、レム―ノンレム睡眠が1セット90分~110分ごとのサイクルで訪れ、総睡眠時間の前半3分の1あたりに深い眠りが訪れます。
短期記憶を収納している海馬では、この深いノンレム睡眠の時に、鋭波が発生していることが確認され、電気的な活動が活発になり、その鋭波が長期記憶を収納する大脳皮質に伝わっていることが明らかになりました。
やはり、深い眠りの間に、短期記憶から長期記憶への情報の移し替え、置き換えが行われており、それを海馬の動きからも確認することができたということで、記憶の定着には、深い睡眠が重要だということのようです。

Y. Wei, G. P. Krishnan, M. Bazhenov. Synaptic Mechanisms of Memory Consolidation during Sleep Slow Oscillations. Journal of Neuroscience, 2016