コラムColumn
【メディカル】男性側の受精力は骨が重要!?
性と生殖男性
Posted on 2011.2.23
米国・コロンビア大学メディカルセンターのGerard Karsenty博士らがCell 2011年2月17日オンライン版に発表した研究で、骨から分泌されるオステオカルシン(osteocalcin)と いうホルモンが、オスの妊娠力の制御因子として機能していることがわかりました。
これまで骨と生殖の関係に関して、性腺が骨リモデリングの 制御に関与していることがわかっているだけで、相互の影響は明らかになっていなかったところ、博士らは最近の研究で、骨からオステオカルシンというホルモ ンが分泌されないオスのマウスの妊娠力が弱いことを発見したため、骨と生殖の相互作用の研究を進めました。
いくつかの細胞レベルでの実験を 行った結果、骨から分泌されるオステオカルシンが、男性の受精力に影響するホルモンであるテストステロンの生成を強化することが明らかになりました。ま た、オスのマウスにオステオカルシンを注射したところ、血中のテストステロン値が上昇することも確認されました。一方、オステオカルシンが欠乏しているオ スのマウスをメスとペアにして生殖能力を確認したところ、健常なマウスのペアに比べて半分しか子どもが生まれませんでした。
また博士らは、メスのマウスに関して骨と生殖に関わる女性ホルモンであるエストロゲンの関係も研究しましたが、メスにおいては骨が生殖能力に影響を与える証拠は発見できませんでした。
この研究結果から博士らは、あくまでマウスレベルの話で、まだ人間の男性に関して研究は進んでいないが、他のホルモンの研究から考えて、人間にも当てはまる可能性が高く、新たな男性不妊治療法の開発に繋がるのではないかとしています。